『うつ』と『新型うつの違い』

『新型うつ』て、ご存知ですか?

『うつ』という症状にはいろいろおな種類があります。

(DSM-IV-TR)精神障害の診断と統計の手引き参照

病名は気分障害といいます。

 

最近よく聞く『新型うつ』はマスメディアなどで新しいうつ病のように

扱われていますが、専門用語ではなく厳密に精神医学的の定義は

ないと言われています。

 

では従来型の『うつ』の症状と『新型うつ』のどのような違いがあるのか、

両方の症状から説明します。

 

まずは従来型の『うつ』とは・・・

 

 ● うつ病の特徴

うつとは?(病名は気分障害といいます)

うつという症状にはいろいろな種類があります。

うつ病、躁うつ、抑うつ、非定形うつ病、新型うつ、仮面うつ等々。

その中で従来型のうつ病の症状についてこのような特徴があります。

DSM-IV-TR参照

 

まず、うつはどんな症状なのか・・・

1、気持ちが晴れ晴れしない

   「悲しい」「落ち込んでいる」、「憂鬱だ」、

   「人生に希望が感じられない」等の気分が続く。

 

2、物事への興味・関心・喜びがない

   何をやっても楽しくない状態。

   例えば「毎日わくわくしながら見ていたテレビドラマが、

   最近はまったく「楽しくない」や大好きだった趣味の旅行が

   今は行く「気が起きない」など。

 

3、食欲がない・体重が減っている

   稀に食欲が増えたり、体重が増えたりする人もいます。

 

4、眠れない

   この眠れない症状には3パターンあります。

   まず、「寝付けない(入眠困難)」

   次に「途中で目を覚ます(中途覚醒)」

   そして「予定の時間よりも朝早く目覚めてしまう(早朝覚醒)」

   などあります。

   また逆な睡眠過多になる人もいます。

 

5、動作が緩慢になっている

   本人はそれほど自覚していないのですが、

   周囲が見て気が付くことが多い。

   歩き方や仕事ぶりをスローモーションのように見える。

   こちらもまれに逆にセカセカ動き回る人、

   焦ったような動き方をする人もいます。

 

6、気力がなく疲労感が強い

   「きちんと睡眠をとっているのに、いつも疲れた感じがする」

   「体がだるくて重い」

   「気力がわいてこない」といった状態。

 

7、自分に価値がない感覚・罪の意識がある

   これは、うつ病特有の症状ともいうべきもので

   「私はみんなに迷惑ばかりかけている」

   「私なんかいてもいなくても同じ」

   「自分が嫌でたまらない」と考えてしまいます。

 

8、思考力や集中力がなく、物事が決められない

   些細な事でも判断に迷う。

   例えば「この仕事やれるの?やれないの?」と上司に尋ねられても、

   どう返答していいかわからない、すぐには考えがまとまらない、

   決断できないという場合などがあります。

 

9、死にたい気分がある

  「生きていても意味がない」と口走るような状態。

  ひどくなると自殺の可能性も出てくるため、

  周囲は本人の言動に気を付けましょう。

 

ほとんど毎日そして1日中上記の番号1、2症状が当てはまる事が条件、

そこへさらに3~9の症状が5つ以上該当すると『うつ病』と診断されます。

 

 

 

 ● 『新型うつ』の特徴

『新型うつ』という名前は正式な病名ではありません。

実は現段階において診断基準すら明確になっていないのです。

「未熟型うつ病」「現代型うつ病」「逃避型抑うつ」「非定型うつ病」の4つの病態によく見られる症状を指しています。

 

ではどんな特徴なのか?

 

1、20~30代の若年層比較的多い

   「従来型のうつ病」になりやすい人は40代以降の中高年に多く、

   これに対して

   「新型うつ病」は若年層に圧倒的に多い。

 

2、本人が「うつ病である」ということを自覚し自ら受信する。

   「従来型うつ病」の人は自分がうつ病とは認めたがらない、

   ちがうと言って自覚していない。

   これに対し「新型うつ病」の人は自分から率先して専門医にかかり、

   「うつ病」と診断がされるとそのことを認めて人に話します。

 

3、元気に過ごせる時間がある

   「従来型のうつ病」の人はほとんど毎日気分が沈みっぱなしで

   何をする気力がない、何をやっても楽しく無い。

   これに対して「新型うつ病」の人は休日になると症状が軽減するなど、    状況によって気分に変動があり趣味をしたり、

   元気に過ごせる時間もある。

 

4、衝動的な自殺願望がある

   「従来型のうつ病」の人は強い自殺願望があるのに対して

   「新型うつ病」の人は自殺願望がそれほど強くなく、

   リストカットなどの自傷行為も衝動的に行うのが多い。

   アピールもします。

   だからといって、自殺しないとは限らない。

   衝動的に自殺する可能性もあります。

   なので周囲の人は気をつけましょう。

 

5、規則や納期などに強いストレスを感じる

   「従来型のうつ病」の人は、辛くても規則や納期をきちんと

   守ろうとする。その真面目さがかえって本人を苦しめ症状を

   悪化させてしまうことがある。

   ところが「新型うつ病」の人はこれらに対して強い恐怖感を感じ、

   ときには動悸、発汗、めまいなどを伴う強い不安として表れる。

   不安な状態は呼吸困難を伴い、

   パニック発作のように見えることもある。

 

6、うまくいかないと他者を強く非難する他責傾向がある

  「従来型のうつ病」の人はうまくいかないことを自分のミスでもないのに

  自責の念にかられるが、

  これに対して「新型うつ病」の人は「仕事が上手くいかないのは

  上司からのノルマを過剰に押し付けられたせいだ」などと他者を

  非難する傾向がある。

 

7、やるべきことに対する回避傾向がある

  やるべきことが目の前にあると強いストレスを感じ

  そのまま放任しておくとやりたくないものを回避しようとする。

 

8、投薬治療や休暇ではあまり効果が出ず、慢性化することが多い

   「従来型のうつ病」の人は服薬と休養である程度回復し、

   それにカウンセリング等で完全に回復していく場合が多いが、

   「新型うつ病」の人は入院治療などである程度回復したと思われても

   会社に戻るとまた再発するなど長期化してしまうことが多い。

   長期休暇は逆に慢性化してしまう。

 

9、自分を第一優先に考え、行動する。

    「従来型のうつ病」の人は周囲の人を気遣うあまり

    「NO」と言えない傾向が強いが

    「新型うつ病」の人は「やりたくないこと」「できないこと」を

    はっきりと言い自分中心に考えて行動する。

 

 

*新型うつ参考書籍

 すばる舎発行

 著者 倉成 央

  あなたの身近な人が「新型うつ」かなと思ったとき読む本

  参照